「何考えているんだ!お前がしっかりしないから、こうなってしまったんだろ!反省しろよ!」
その時、会議室の空気は、一瞬にして凍り付きました。
ある部下が、仕事で大きなミスをしました。
それに対して、上司が、十数人出席している会議で、その部下を叱咤したのです。
いや、叱咤というようないい言葉ではありません。
罵倒です・・・
上司が、部下に求めたのは、仕事に対するミスの反省。
そして、ミスや出来なかったことへの叱咤です。
でも、本心は違います。
そのミスによって、自分にも悪影響が及ぶことに対してのいらだちをぶつけているのです。
自分が部下に対して、的確に指導し、フォロー出来なかったことで、
部下がミスを犯してしまったこと、つまり自分に対する怒りを部下にぶつけているのです。
本当に部下のことを考え、部下の成長を心から願っていたら、会議室で叱ったりはしません。
もちろん、怒鳴ったりもしません。
どんな言い訳をしても、人前で叱り飛ばすのは、単に自分のいらだちが原因です。
相手の心、相手の気持ち、相手の痛みを理解していれば、絶対に人前で叱ったりはしません。
上司によっては、人前で叱ることで、インパクトを与え、
周りにも事の重大さを認識させる効果がある、という言い方をする人もいますが、
私は間違っていると思います。
確かに、人前できつく叱られても、反省はします。
しかし、叱られている原因に対する反省よりも、
人前で叱られている恥ずかしさを取り繕うとする気持ちが、少なからず出てきます。
その取り繕おうとする気持ちにより、反省する気持ちのシェアが侵されます。
そのため、本当の意味での反省ができなくなるのです。
人前で叱る。
その時の相手の気持ち、心の痛みが理解できない人は、
部下を本当に成長させることはできません。
本当に必要なのは、反省ではありません。
反省は、最初だけで十分です。
大切なのは、次にどうするかです。
上司によっては、反省レポートを書かせる人がいます。
この反省レポートの効果は、ただひとつ。
上司の気持ちの納得性です。
当の本人、部下には何の効果もありません。
部下の気持ちを理解し、部下の痛みを理解できることが
上司として、部下の成長をサポートできるのです。
相手に成長してほしいと、心から願うのならば、人前では絶対に叱ってはいけません。
もしも、相手をつぶそうと思うのならば、大勢の前でボコボコにすればいいんですけどね。
さて、あなたはどうしますか?
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