店長のための「言える化」推進計画(その30)

PEOPLE&PLACE(ピープル&プレイス)

2014年05月18日 11:00




「松下くん。客席に背を向けた状態で、客席を見ずに、客席の様子を説明してみなさい。」

今から36年前・・・・私が、マクドナルドでアルバイトをしていた時のことです。
私は、スイングマネジャーという、アルバイトリーダーに昇格するためのトレーニングを店長から受けていました。冒頭の言葉は、その時の店長から言われた指示です。(上の写真が当時の私です)

私は、一瞬、眼が点になりましたが、すぐにその眼をつむり、耳で客席の音を探り、どれくらいの数のお客様がいて、子供がどこにいて、と言う耳で感じたことを店長に話しました。店長は、「眼だけではなく耳でも観察って出来るんだよ」、と言うことを教えて下さったのです。また、同時に、適確に客席の音を聞き分ける事が出来た私には、「耳で観察する力がある」ことにも気づかせて下さったのでした。

普通、店長が部下を育てる時には、自分が学んできた経験や知識を元に部下を指導します。しかし、優れた店長は、ただ教えるだけではなく、部下の本当の「強み」に着目し、それを引き出し、それに気がつくように刺激を与えてくれるのです。私のアルバイト時代の上司(Y店長)は、まさしくそう言う上司でした。

実は、私は眼で見て、微妙な変化に気がついたり、見分けたりすることが、あまり得意ではありません。なので、よくテレビでやっている「静止画の一部が徐々に変化する」クイズとか、スロットマシンの目をそろえたりする、いわゆる目を使う観察が苦手なのです。一時、なんとかしてその能力を高めようと色々と訓練をしてみたのですが、その効果はイマイチ・・・苦手意識を消すことは出来ませんでした。

しかし、Y店長のお陰で、耳の感性が割と高いことに気づかせて頂いてから、耳で眼をカバーすることを意識するようになったのです。もちろん、私の耳は、絶対音感とか針の落ちる音を聞き分けられるような、スーパーなものではありません。正確に言うと「能力が高い」と言うよりは、「耳から入ってくる音にこだわる」と言った方が良いかもしれません。いずれにせよ、Y店長のお陰で、私は苦手部分をカバーする方法に気がつき、それをずっと意識し続けることで、30年以上たった今でも、「音」や「声」への反応が少しだけ鋭くなっているのです。

さて、話をこのところ事例に使っているある店のスタッフリーダーAさんと、部下のCさんに戻しましょう。(今日初めてこのブログを読まれた方は、このシリーズの「その1」に遡ってお読み下されば幸いです。)

Aさんは、店長から「スタッフ育成のための6ステップ」を教えてもらいました。そして、ステップに沿って、Cさんの指導を進めていきました。Aさんから、自分の耳の鋭さに気づかされたCさんは、それからというもの、耳から入る「音」や「声」に特に意識を集中しながら自分の観察力を磨くようになって行きました。Aさんも、Cさんの能力を伸ばすために、日々「強み」について「認め」「ほめ」さらに「感謝」を続けました。Cさんによると、自分の「耳の観察力」をずっとほめ続けられたことが、一番の自信となったそうです。こうしてCさんは、ますます、「店全体を的確に把握する能力」を高めて行ったのです。

Aさんが実践している「スタッフ育成のための6ステップ」とは、

ステップ1:部下に自分好みの能力を要求しない
ステップ2:部下を観察する
ステップ3:部下に自分の強みに気づかせる
ステップ4:部下の強みを伸ばす
ステップ5:部下の強みを活かす
ステップ6:部下に一目置く

です。AさんのCさんへの指導は、ステップ4に入っていたのです。

「部下の強みを伸ばす」

部下に「こう」なって欲しい・・・そう考える上司は多いですが、その「こう」の部分は「自分基準」だったり、「自分好み」だったりするのです。それは、部下を自分のコピーにしようとしているに過ぎません。部下には部下の「強み」があります。上司はそれを見つけ、気づかせ、伸ばし、活かして、成果を出すことが仕事ですよね。何度も何度も繰り返していますが、これを忘れちゃあ「部下を育てる上司」としては失格なのです。

さあ、あなたは部下の「強み」を伸ばしていますか?
部下にその「強み」を気づかせたら、徹底的に「認め」「ほめ」その「強み」に感謝しましょう。
その部下の「強み」は、きっとあなたを助けることになりますよ。

明日は、Aさんが、Cさんの「強み」をどう活かしたかについてご紹介しましょう。
お楽しみに。

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