「売上を伸ばし続ける店長」がしているPDCAのまわし方:その60

PEOPLE&PLACE(ピープル&プレイス)

2014年08月07日 08:40




第7章 エピローグ:PDCAをまわしてもっと仕事を楽しもう・・・・店舗ビジネスはPDCAをまわすとムチャクチャ面白い
④PDCAは、店舗自動成長システムである・・・PDCAは現場の主体性を育てる仕組みです


「あ、忘れていました。もうひとつ、大きな変化がありました。」

スタッフリーダーのSさんは、店舗を訪問していたM部長に、先ほど「PDCAを進めてきてふたつの大きな変化があった」ことを話していましたが、急にもうひとつある!と叫んだのです。

「店長が、会議やお休みなどで不在の時でも、店の雰囲気が低下しないと言うことです。さすがに、N店長の明るさを僕がひとりでカバーすることはできませんが、シフトインしているスタッフが全員で普段の店長の明るさの代わりをしようと心がけているんです。たまには、店長がいるときよりも店の雰囲気が明るいときがあるんですよ。もちろん緊張感は忘れちゃいませんけどね。」

スタッフリーダーのSさんが言うのは、スタッフに生まれた「主体性」「責任感」のことなのでしょう。
以前は、店長不在時は、緊張の糸が切れ、テンションは落ち、ダラダラしたムードが店に広がるという状態だったというのです。それだけ店長の高いテンションや緊張感は、店のレベルを保つために重要な役割をしていたのです。

しかし、PDCAを始め、店のミッションを理解し、ビジョンに共感し、それを実現するためにスタッフのひとりひとりが、個人目標を持ち、日々成長を目指すようになると、たまに店長がいないときはかえって、「自分がもっとしっかりしないといけない」と考えるようになったというのです。

結局、店長がいるときは、店長に頼っていることにスタッフ達は気がついたのです。

スタッフがそのことに気がついたのは、ある時店長が、十二指腸潰瘍で緊急入院をしたときでした。幸い店長の症状は、重症ではなくすぐに回復したのですが、倒れた原因が「ストレス」であると感じたスタッフ達は、自分達がさらにしっかりしないといけないと思ったのです。

N店長は、半年前の自分の仕事ぶりに対する反省から休みをあまり取らずに働き続けていました。また、店の売上げもPDCAの成果が出てきて順調に伸び始めていました。その為、店長はお腹の痛みをこらえて仕事を続けていたのです。しかし、結局我慢も限界に来て遂に入院。

これから売上げをさらに伸ばそうという肝心なときに店長が入院となり、店長自身はもちろんですが、リーダーもスタッフも大慌てで一時は騒然となりました。さらに本社の幹部からは、「売上げはどうなるんだ。シフトは埋められても店長がいないと売上げは下がるんじゃあないか・・・」そう心配する声も出てきました。

ところが、店長入院後、危惧された店の売上げは、まったく落ちることはありませんでした。
しかも、その売上げは、落ちるどころか店長が不在の期間、毎日毎日、前年比を大きく上回るハイペースを維持し続けたのです。
これにはスタッフも店長も、さらに本社の幹部達もビックリしました。

その理由は明白でした。スタッフの危機感が、さらなる主体性を引きだし、お客様との親しみを込めた会話、俊敏な動き、積極的な呼び込みをそれまでよりもさらにハイパワーで継続したからでした。PDCAによる「行動計画書」は、彼らが、「お客様に満足していただくために具体的になにをしたら良いのか」を、自然と身に付けさせていたのです。その結果、スキルという部分だけでなく、自信と責任感を成長させ、さらに主体性をも大きく高めていたのです。

PDCAは、ミッションからスタートさせます。そして、明確な根拠を元に、戦略を決め、優先度の高い順に実行をし続けます。それは、スキルの向上だけでなく、責任感、主体性をも成長させていくのです。


さて、自らの成長と入院を持って、このPDCAの効果と方法を会得したN店長は、それから6ヶ月後に新しい店のオープンに向かって北海道に旅立ちました。そして、後に残ったスタッフを引っ張っていたスタッフリーダーのSさんが、今ではこの店の店長として跡を継いでいます。
彼らの、3周目、4周目のPDCAがどこまで新しい店長とスタッフ達を成長をさせていくのか・・・・今後がとても楽しみです。

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60回続けてきたPDCAシリーズの本編は、ひとまず今日で終了です。明日からは、少しの期間「PDCA番外編」として、この2ヶ月間で書き漏らしたことなどを少し追加してお届け致します。
お楽しみに。


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