顔晴れ店長!ブログ

店長のための「言える化」推進計画(その37)

店長のための「言える化」推進計画(その37)


「あの~。お客様に一組ずつゆっくりと客席に入っていただくのなら、入口でゲームかなんかしてもらって、お客様が入ってくるのを遅くしたらどうですかね?」

おそるおそる手を挙げて発言したのは、ホールスタッフのHさんでした。いつも楽しそうに仕事をやっている、この店で一番明るいスタッフです。彼女が提案したのは、ランチタイムで11時半くらいから一気にお客様が店内になだれ込んできて、一気にオーダーがキッチンに通されて、キッチンが一気に忙しくなるのを防ぐ為に、お客様を、客席にご案内する前にゲームをしてもらったら、ゆっくりと順番にオーダーを通すことが出来るんじゃあないか・・・・と言うことでした。

ところが、そんな彼女の提案に対して、他のスタッフが
「あはは、バッカじゃあないの~そんなことしたら、それに待たされている後ろのお客様が怒って帰ってしまうわよ。バカみたいな提案しないでよ~きゃはは・・・」
と、笑ったのです。その為。笑われたHさんは、赤い顔をして下を向いてしまいました。

実は、この「おかしな意見を言ったら笑われる」と言う気持ちも、「言える会議」を進める上で大きな障害となっているのです。私のような関西人は、おかしな事を言って笑ってもらえると「おいしい」と喜ぶのですが、残念ながらその感覚を自然に持ち合わせているひとは、全国的に見ると多数派ではありません。むしろ、笑われるのが恥ずかしくて、いや、まさしく笑われることが「恥」として捉えているひとの方が圧倒的に多いのです。なので、私のように、あえて「笑わせよう」としていない限り、発言に対して笑いが生じてしまうと、もう何も言えなくなってしまうのです。

「言える会議」を目指しているのならば、会議出席者は、発言者が「わざとおかしな事を言って笑わせようと企んでいる」のか、「普通にまじめに意見を言ったら、ちょっとおかしかった」のかを事前に判別しておかねばなりません。「笑わせようと思っていた」のならば、笑って上げないと悲しいだろうし(でも、おかしくないのに気を遣って笑ってはいけませんが)、まじめに意見を言ったのならば、声高らかに笑ってはいけません。間違いなく傷つきます。

ただ、議事進行者にとっては、こういう一見「こいつ何を考えるんだ?」と言うような意見が出てきた時の対応の仕方がセンスの分かれ目です。一刀両断するのか、上手く拾い上げるのか、何事も無かったかのようにするのか・・・進行役の対応の仕方で、空気は一変してしまうのです。

「Hさん、まずは、提案をしてくれたこと、改めて感謝するわ。楽しい意見をありがとう。Hさんらしいわね。面白いじゃない。」

と、ホールとキッチンのそれぞれの立場や事情があるので、なかなか『これだ!』と言う意見が出にくい中で、面白い意見を言ったHさんをほめ、感謝したのです。スタッフリーダーのAさんが、Hさんの意見を笑わずに、丁寧に受け取ったことで、Hさんの意見を笑っていたスタッフ達の空気が一変しました。以前ならば、当のAさんが一番先に笑って批判をしていたのです。しかし、部下のひとりひとりに強みがあることを知り、それに敬意を払うことの大切さを理解したAさんは、もうむやみにひとの意見を笑うようなことはしませんでした。そして、そのAさんの余裕を持った態度は、スタッフ達のミーティングに対する気持ちをも変化させていったのです。

成長したAさんの大人な態度による進行で、ミーティングは、前向きで積極的な意見が交わされるようになってきました。もっとも、元はと言えば、Aさんに部下の話を聴く姿勢が全く無かったことが、一番の原因でこの店の会議は「後ろ向きで消極的な会議」になっていたわけなのです。その為、発言をするスタッフにおいても、「批判的」「攻撃的」「防御的」な態度が蔓延していたのでした。

Aさんは、そのことに対する反省も踏まえ、自分がスタッフの意見をしっかりと受け止めて、最期まで聴き、決して否定をしない態度を続けることで、ちょっとゆがんでいたスタッフ達の、「ミーティングに対する姿勢」に変化を促していたのかも知れません。

さて、ここ数日は、「言える会議」を実現するために、「言えなくなる要因」についてお話ししてきました。この店に関しては、Aさんの成長により、徐々に言えない雰囲気は薄くなってきました。しかし、ミーティングや会議で意見が出にくくなる要因は、それだけではありません。あとふたつ、自分勝手なひとの心が起こす「言えない会議」の要因があるのです。

それはまた明日。

※「6ステージ従業員満足」「360度評価」に関するご相談、従業員満足度調査、セミナー、研修、コンサルティングなどについては、弊社までメールかこのホームページの「お問い合わせ」「お気軽にご相談下さい」から、お問い合わせ下さい。ご連絡をお待ちしております。

※アメブロで、ブログバックナンバーの改定新版を毎日更新しています。
 読み逃した方は、こちらもどうぞ

http://ameblo.jp/aitejiku/

店長のための「言える化」推進計画(その37)

  • 同じカテゴリー(顔晴れ店長!ブログ)の記事画像
    6月新刊 直販予約キャンペーン開催中
    東洋経済ONLINEに私のコメントが載りました
    CBCラジオ朝のニュース番組「石塚元章ニュースマン」に出演します!
    美容室専門雑誌IZANAGIに「スタッフが辞めないお店の作り方」連載中!」
    スマホアプリ「スタッフが辞めないお店作り力診断」がリリース!!
    2018年6月23日(土) 還暦おじさんの再起動奮闘記:なんと2冊同時に増刷がかかりました!!
    同じカテゴリー(顔晴れ店長!ブログ)の記事
     6月新刊 直販予約キャンペーン開催中 (2020-05-14 19:43)
     東洋経済ONLINEに私のコメントが載りました (2018-09-18 13:26)
     CBCラジオ朝のニュース番組「石塚元章ニュースマン」に出演します! (2018-09-13 09:19)
     美容室専門雑誌IZANAGIに「スタッフが辞めないお店の作り方」連載中!」 (2018-07-30 11:06)
     スマホアプリ「スタッフが辞めないお店作り力診断」がリリース!! (2018-06-28 12:28)
     2018年6月23日(土) 還暦おじさんの再起動奮闘記:なんと2冊同時に増刷がかかりました!! (2018-06-23 06:50)
    • author: PEOPLE&PLACE(ピープル&プレイス)
    • 2014年05月25日
    • 06:43
    • コメント(0)
    ※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。

    この記事へコメントする

    上の画像に書かれている文字を入力して下さい
    <ご注意>
    書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

    ▲ページの先頭へ

    • 店舗力診断
    • PEOPLE&PLACE代表・松下雅憲プロフィール
    • 「これからもあなたと働きたい」と言われる店長がしているシンプルな習慣
    • 「競合店に負けない店長」がしているシンプルな習慣
    • 代表・松下のブログ
    • 毎日よもやまブログ
    • お気軽にご相談ください
    • お問い合わせ
    • メルマガで情報を素早くGET!
    • 何度も食べたくなるピッツア研究所
    • この本いいね!おもしろい!
    • 松下雅憲個人ページ
    アクセスカウンタ
    読者登録
    メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
    現在の読者数 31人
    オーナーへメッセージ
    削除
    店長のための「言える化」推進計画(その37)
      コメント(0)