第７章：ピープルの健康状態を調べよう
⑧スタッフのキャリアのバランスを整えよう
「3ヶ月後の卒業シーズンで、ベテランの大学生スタッフが全員辞めてしまうんです。その後のことを考えると、頭が痛いんです・・・どうすれば良いんでしょう？」
ある店長が、頭を抱えながらこう言いました。
この店は、3年前にオープンした店です。売上げも順調で、スタッフも充足し、その満足度も高い状態を維持できていました。しかし、そんな順調な店に大きな落とし穴があったのです。
それが、「スタッフのキャリアバランス」の落とし穴なのです。
この店は、オープン当初のスタッフ採用とその育成が非常にうまく行ったこともあって、その後3年間、ほとんど新人を採用しないままに営業をし続けて来られました。しかし、スタッフの半数以上は、オープン当時大学1年生。つまり、3年たった今は全員4年生で、年が明けると全員就職で退職してしまうのです。
彼らは、店に対する帰属意識も非常に高かったことも有り、定期試験の時や大学祭、そして就職活動に於いても、仲間同士でシフトをやりくりして大きな穴を空けることもなくこの3年間をこなしてきたのです。歴代の店長は、そんな彼らの高い意識にそのまま甘えてきたのでした。ところが、気がつくとそんな彼らももうすぐ卒業。彼らが全員一斉にいなくなってしまうとなると、戦力ダウンどころか営業そのものが出来なくなってしまうかも知れないくらい、大きな問題なのです。なので、今更ながら、このことの重大さに気がついた店長が、パニックになっていたのです。
さて、あなたの店では如何でしょうか？
来年の春に、店を支えてきた大学生スタッフが、卒業、そして就職のための退職するのではないでしょうか？
彼ら後釜の育成はもう進んでいますか？
昨日のブログでは、「新人を絶対に辞めさせない仕組み」が必要と言いましたが、店には一定量の「新陳代謝」は必要だと言うことは、しっかり認識して欲しいのです。先ほどの店でも、実際には、ほんの少しは退職したり長期休暇を取ったりしていたのです。しかし、既存スタッフの出来が良かったので、新人を採用せずに、多少の無理をしながらその場その場を乗り切っていたのです。
その為、新人がほとんどおらず、スタッフのほとんどが「ベテランばかり」にかたよった構成になってしまったのです。
これでは、一斉に退職を迎えると、店が空っぽになるのはあたりまえですよね。歴代店長も、この３年間、そのことに気がついていたはずですが、なんとかかんとか日々のイベントを乗り切ったことで、ぬるま湯に浸かってぼお～っおしてしまい、大きな危機が来ることを見逃してしまっていたのです。
スタッフのキャリアバランスの片よりは、何も大学生だけに限りません。
例えば主婦にばかりに片寄ると、夕方のシフトが苦しくなるし、土日のシフトも苦しくなります。学校行事や年末年始は、もっと苦しくなるのです。
主婦や大学生という立場ばかりではありません。勤務キャリアも同じです。
先ほどの店のように、ベテランばかりになると、新人とのスタッフレベルのバランスが悪くなり、日によってQSCのばらつきが大きくなるリスクがあります。また、新人への教育機会が減るためベテランの部下育成能力にも影響が出てきます。
オープン以降順調に来ている店でも、このようなキャリアバランスにかたよりが出てきていると、1年もするとそれが影響した歪みが必ず出てきます。スタッフは辞めないでいてくれるに越したことはありませんが、それでも、少しずつ新しい血を入れていくようにすることが、さらに良い店作りのために重要なポイントなのです。
「スタッフが辞めない店」と「新陳代謝がスムーズに行える店」このふたつを同時に実現させることで、さらに良い店を作っていきましょう！
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