「成長が遅いスタッフは、ほんの少しでも成長したときにそれを自覚していないひとが多いのです」
私が、部下育成に悩んでいたときに、ある上司がこのように教えて下さいました。
人間は、ゲームの中のキャラクターではありませんから、魔物を１匹やっつけたあとに「ちゃらら～ん」と音が鳴って、レベルが上がったとか、攻撃力や守備力がアップした何てことはわからないのです。
もちろん、チェックリストや評価制度やタイトルなどがありますから、昇格したり、時給が上がったりすることで、自分の能力の向上を知ることは出来ます。仕組みの中では知ることが出来るのです。
しかし、昨日から今日まで、1時間前と今、くらいの時間経過の中で、どの部分が、どの様に、どれくらい成長したかなどは、毎日毎日チェックを受けたり、テストをしたりするわけではありませんから、スタッフ自身は、その変化、成長、進化などを自覚することが出来ないのです。
基本的には、能力というものは、出来る・出来ないという点においての境目は存在しますが、能力そのもののインジケーターは、急激に上昇することはありません。私たちは魔法使いではありませんし、ヒーローではないのです。
しかし、私たちの能力は、細かく見ると、毎日どこからほんの少しずつ変化し、成長し、進化しているのです。
それは、パッと見ただけでは、なかなか気がつかないくらいの小さな変化かも知れません。
でも、よくよく見れば、昨日まで出来なかったことが、今日は少しは出来る様になっていたりするのです。
ところが、残念なことに、多くの上司は、部下のほんの小さな変化をほとんど見逃してしまっているのです。
これは、実にもったいない事なのです。
私たちは、ほんの少しでも成長してることに気がついたら、それが大きな自信となります。
「そうか！これで良いんだ！よし！このまま進もう！」
と言う気持ちになるのです。
自分の成長を自分ではっきりと自覚することはもの凄いモチベーションのアップになるのです。
だから、スポーツの世界の優秀なコーチたちは、選手の変化を細かく観察し、それを選手に伝えています。
だから、一流のプロスポーツ選手などは、自分専用のコーチを雇っているのです。
だから、彼らのような優秀なコーチは、選手のことを細かく観察します。
筋肉の動きの微妙な変化、姿勢、目の開き具合、呼吸の回数、汗のかき方、身体のひねりぐらいなどなど。
彼らはその変化を元に、昨日よりも良くなっているポイントをほめながら指摘し、選手に自信を付けていきます。
時には失った自信を取り戻すために、昨日との違いを見つけます。
これは、お店でも、ビジネスの世界でもまったく同じように応用できるのです。
部下やスタッフの、ほんの少しの変化、成長、進化を見つけて、ほめながら伝えれば良いのです。
基本的に、私たちは自分自身の変化については、あまり正確には自覚は出来ないようです。
しかし、コーチが毎日その変化を観てくれていると、次は何を知ればより良くなるのかがより正確にわかる様になります。
あなたは、コーチなのです。
部下やスタッフは、必ず変化しています。
それを見つけてほめながら伝える。
極論すれば、店長の仕事はそれにつきるということです。
スタッフの成長が遅くて困っている店長。
その原因は、あなたが「スタッフの微妙な進化」をつかんでいないだけなのかも知れませんよ。
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