
「もうひとつ、新人店長に『棚上げ』して欲しいのは『出来ていない自分』です。」
店長に昇格し、いきなり壁にぶつかっている新人店長に、営業部長はアドバイスをしました。その、ひとつめが「自分を棚上げしよう」と言うものです。これは、まず「過去の実績を棚上げ」して、過去と同じ方法で成果を上げようとする自分を一旦リセットして、「店長としての仕事の仕方」で成果を上げさせようというのが目的です。
彼は「『棚上げ』するのはもうひとつあります。」と言いました。それが、冒頭の「出来ていない自分」です。誰でも、実績と同時に出来ていない部分もあります。完全無欠なスーパー店長では無い限り、苦手、不得意、失敗、未熟、未経験、な仕事はたくさんあるはずです。でも、店長に昇格すると、それも全て出来ないとカッコがつかないような気持ちになってしまいます。
また、多くの上司は、自分も昔出来ていなかったはずのことを、自分の部下には出来る様に強く求めます。まあ、その上司も「出来ていない自分」を棚に上げているのでしょうけれど、それを「出来ていない部下」に求めてはいけませんよね。
店長の周りにはたくさんのスタッフがいます。店長自身が苦手でも、それを得意とするスタッフがいるはずです。その人を活用することに気づかせるのが、このもうひとつの棚上げの目的なのです。
もちろん何でも出来る様になるために一生懸命努力することは大切な心構えだとは思いますが、店長になり立てで、やる事が急に増えて忙しい状態で、さらに全てを見渡せる余裕も無い状態の時に「苦手克服」に貴重な時間を費やす必要は全くありません。そんなことは出来る人にやってもらえば良いのです。
それが、ふたつめのアドバイスである「丸投げ」です。
部下を育てる時に、仕事を権限委譲し、責任を持たせてチャレンジをさせる。それにより、その成功から経験、学び、自信を得て、それが成長に繋がります。その為、上司は部下の横を伴走し、成功に向けて細かくフォローアップするのが原則です。でも・・・これはあくまで原則です。「出来る店長」のやり方です。
新人店長にそんな余裕はありません。店長代理時代に部下育成のために担当していた人数と桁が違うのです。そんなこと急に出来るわけがありません。にもかかわらず上司は、それをさせようとします。「丸投げはいけない」と口を酸っぱくして言います。そして、出来ない状態で更に新人店長を忙しくしてストレスを増やして行きます。これでつぶれてしまう新人店長もいるのです。
部下に権限委譲をするときに、細かくフォローアップする目的のひとつは「失敗させないこと」です。一方で「丸投げ」の最大のリスクは、「経験値の低さから来る失敗確率の上昇」です。失敗は経費的にもマイナス要因ですから、出来るだけ避けたいのですが、失敗からも学べることはあるのです。悪いことだけではありません。また、フォローアップを他の部下に丸投げするという方法で、リスクを軽減させると言う事も可能なのです。店長昇格という大変な状況で、何でも把握して全部に関わらないといけない・・・・そんなことが出来るスーパー新人店長は、まあ100人に一人くらいでしょう。そんなことを残り99人にも求めると、大切な新人店長がつぶれてしまいます。それが現実です。
なので、私は「新人店長は仕事を丸投げすべきだ!」と強くそう思っています。
さて、先の営業部長は、新人店長にもうひとつアドバイスをされています。
それは「はったりをかます」です。
それについては、また明日。
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